
日々の生活に欠かせない箸。あなたはこだわりを持って選んでいますか?
箸にこめられた日本の伝統や
食事を楽しくおいしく演出してくれる道具としての魅力など
多彩な箸の世界をご紹介。
◆小さくて美しい伝統の集大成
食器売場に行くと、よくお椀(碗)を手で包むようにして品定めしている人を見かけます。
それは、手に持ったときの手触りを重要視しているから。
日本人はわずか1グラムの差でもわかるほどの
繊細な手の感覚を持っているといわれています。
左手には木製の漆塗りの椀や土ものの碗、そして右手には木の箸を持って
自由に「食べる」という行為をあやつってきたその文化は
日本人の手に繊細な感覚を宿すとともに
情緒的といわれる国民性を育ててきました。
母から娘へその家庭の味が伝えられたり
師匠から弟子へ伝統の技が引き継がれたりしますが
この「伝える」という世代交代は、すべて「手伝い」からはじまります。
「手伝い」とは、手から手へ伝統を伝える第一歩なのです。
そしてその手から手へ伝わった「技」には、機械で仕上げられた
どんなに細かく綺麗なものにもかなわない、人の心を打つ職人の想いや
先人たちの知恵が注ぎ込まれています。

●箸のはじまり 元前300年 弥生時代
調理に火を使うようになり、調理の道具
そして熱い食べ物を食べるための道具として箸が使われ始めました。
●神の器としての箸 600〜 飛鳥
中国・朝鮮半島より「神の器」として伝来。
ピンセット型の竹製の折箸がそのルーツのため、箸という字が竹冠なのは
古来の箸が竹製であったためという説も。
その後、ピンセット型から今と同じ二本箸に。
この当時箸を使えるのは神様と天皇だけといわれていました。
●塗箸の時代 1750年〜 江戸時代中期
幕潘体制の江戸時代に入ってから塗箸が発展・普及した。
各藩が藩の地場産業として塗り物を競ったためである。
ほとんどの漆器の産地がこの時期に確立し、それと同時に塗箸も多様化した。
江戸時代も末期を迎えると裕福な町人や商人が
自分のステータスとして塗り箸を使ったとされている。
●しつけ箸の時代 1870年〜 明治〜昭和20年代
依然、庶民の箸は竹箸や木地箸が主流。
この時代は「箸の持ち方」が子供のしつけの中でも重視されていたので
この時代に育った人はほとんどが正しい持ち方をしています。
●高度成長期 1960年〜 昭和30年代
この頃から科学塗料が発達。漆に比べて極めて安く
乾燥機を用いて短時間で乾燥することができるため大量生産されるようになり
市場シェアを拡大しました。
●すべり止め箸の流行 1970年〜 昭和50年代
欧米文化の流入による「箸離れ」が進み、また核家族化により
子供のしつけが十分に出来なくなったことから
日本人の箸使いが下手になってきました。
そのため、すべり止め加工を施した箸がこの時代のトレンドになりました。
●素材感のある箸へ 1990年〜 平成3年頃〜
バブルの崩壊とともに「量より質」「豪華よりシンプル」といった
日本人の価値観の変化が起こったため他者に誇示するより
自分自身の好みを重視する人が増加。また、科学万能の考えから
自然回帰を望む考えも重視されるようになり
カラフルに着飾った箸よりも、より木地(自然)に近いシンプルで
素材感のある箸(半塗・木地箸)がトレンドに。そして現在に至っています。
日本に現存する最古の箸が奈良・正倉院に眠っています。
1本の木を折りまげたピンセットのようなもの。
それが、古代日本で使われていた箸の原型です。

古代箸
ピンセットのような昔ながらの箸は、取り箸などにおすすめ

津軽 七々子塗
魚の卵(ななこ)のような模様から名がついた七々子塗り。伝統柄なのにモダンです。

若狭塗 天ノ川
螺鈿と卵殻で模様をつけた豪華な一品。「鶴のくちばし」と言われる細い箸先も特長です。
そして7世紀頃、唐と呼ばれていた中国から伝わってきたのが
2本の棒からなるおなじみの箸。
それから数世紀、日本の食習慣の変化とともに、その素材や塗り
形や長さの種類は増えていきました。
箸を使う他のアジアの国々に比べると、日本の箸は箸先が細いのが特長です。
これは、食材をつまんだり、切ったりといった
和食ならではの細かな作業をしやすくするため。
小さな豆をつまんで運ぶことができるのも、細い箸先のおかげです。
そしてもう一つ、日本の箸のこだわりともいえるのが塗りです。
丈夫で口当たりのいい漆塗りの箸は、見た目もとても美しいですね。
中でも津軽塗りや若狭塗りをほどこした箸は、職人技と日本美が凝縮された
伝統工芸として海外でも人気です。
しかし最近では、職人の減少とともに貴重なものとなってきています。
箸の片方の端は神様のものといわれ、食事時には神が宿るという箸。
自分ならではのこだわりの箸を見つけて
神様と一緒においしい食事をしてみませんか。

■箸の語源
大和言葉※の「ハ」と「シ」の二語の組み合わせ
大和言葉の「ハ」=物の両端、物と物との境目
大和言葉の「シ」=物をつなぎ止める、固定する、固着する、静止するなどの意
この二つの言葉を組み合わせた(物と物をつなぎ止める)とする説
(三田村有純氏による説/東京藝術大学美術学部教授日展評議員
日本現代工芸美術家協会評議員日本漆文化研究所副理事長)
※大和言葉(やまとことば)日本古来の固有の言葉のこと。和語ともいう。
漢語や外来語以外の言葉で、特に漢語に対してこの言葉を使う。
例)「て・みみ・ひとつ・ふたつ・みる」など。
今でも日常生活で普通に使う言葉の多くが和語である。
その読み方を、漢語の「音」に対して「訓」という。
※他にも様々な説があります。
人間と食物を結ぶ「橋」から
文字どおり、箸は人と食物を結ぶ「橋」です。
神様や人の生命が宿る「柱」から
昔は「柱」には、神様や人の魂が宿るといわれていました。
箸は二本の柱です。そこに使う人の魂が宿るとされました。
鳥の嘴(くちばし)のように器用に動く「嘴(はし)」から
人が箸を使う様は、鳥が嘴(くちばし はし)で器用に
食物をついばむ姿に似ています。
端と端を向き合わせる「端」から
箸の元の形は、一本の竹を半分に折り曲げたピンセット型の「折箸」です。
その折箸の端と端でモノをはさみます。折箸は今でも神事に使われています。
二本の棒の間に挟むから「間(はし)」から
箸は二本の棒です。その二本の棒の「間」ではさむから。

■箸は二本一組で「一膳」と数えます
月(にくづき)…体の器官(肺・腰など)を表すのに用いられます。
月(にくづき)をもつことから「膳」とは「道具」という無機質なものを呼ぶ単位ではなく
体の器官やそれに近い機能を果たすモノを数える単位であるといえます。
それは箸の機能がいかに優れているかということと
日本人が箸をいかにうまく使ってきたかを示しています。
ナイフ、フォーク、スプーンのように、それぞれが切る・刺す・すくうの
単一の機能しか果たさない「道具」に対して、箸は二本一組の「一膳」で
「つまむ、はさむ、押さえる、すくう、裂く、のせる、はがす
支える、乞む(くるむ)、切る、運ぶ、混ぜる」といった
12もの機能を果たしてきた「器官」なのです。
他人に自分の箸を使われるのを嫌うのは、箸が指先・手先以上の働きをする
第二の器官としてとらえる民族性が今も受け継がれているからではないでしょうか。

◆好みで選ぶ、食事で選ぶ
箸を選ぶ時、デザインや色などでなんとなく選んでしまう人が多いのではないでしょうか。
箸選びのポイントは「重さ、長さ、太さ、箸先の形、しなり」のバランスだとか。
特に適度な「しなり」のある箸は、ものをつまんだときに強い力を入れなくても
ものが逃げずにしっかりつまめるそう。
しなりという点では青黒檀の箸がおすすめとのこと。
木目が詰まったすべすべとした手触りや丈夫さも魅力です。
「日本文化の象徴」といっては大げさでしょうが
私たち日本人に一番身近な「和のアイテム」、それがお箸ではないでしょうか。
毎日使うものだから、使いやすく、気に入ったデザインのお箸を選んでいただきたいと思います。
◆自分にあったサイズを知りましょう
昔から男性用が23.5cm、女性用が20.5cmというのが、箸の長さの基本
(この長さは江戸の木箸の場合で、塗り箸の長さは産地によって多少の違いがあります)
しかし昔から比べると、一般的に日本人の体格はよくなっていますので
最適なサイズとは一概には言えなくなってきています。
最近では、ジャストサイズを見つけるには
「親指と人差し指を直角に広げた長さの1.5倍を目安にするとよい」といわれています
この方法であればお子様の箸の長さも簡単に知ることができます。
◆自分にあった重さを知りましょう
体格のよい男性は、太く・重たいお箸を好まれる方が多いようです。
こういった方には黒檀や紫檀、たがやさんなどの重みのある木地で作られたお箸や
堆朱塗や螺鈿塗など何重にも漆を塗ったお箸をおすすめします。
ご年配の方や女性は、細く・軽いお箸を好まれるようです。
こういった方には、杉や桑などの軽い木地で作られたお箸や
塗箸でもヒノキやアテなどを素材としている輪島塗のお箸などをおすすめします。
しかしながら、手の感覚は同じ体格の人でも違うもの。
やはり実際にお店に行き、色々な重さの箸を持ち比べてみることをおすすめします。
◆どんな形状のお箸が手に馴染むか知りましょう
お箸の形といえば、昔は胴張(四角に近い形)がほとんどでしたが
近年は多様化し、種類や形も豊富になっています。
一般的に六角や八角などの多面体のお箸が持ちやすいといわれています。
こちらもやはりお店で色々な形状の箸を試してみることをおすすめします。

木の種類や塗りの仕上げによっても、使い勝手や手触りが違います。
例えば、木肌感の残る箸はあたりがやわらかくてすべりにくい。
一方、漆を多く塗り重ねたものはつるつるとなめらかで、汚れにくく丈夫です。
毎日使うものだけに、お店では実際に手にとって長さや重さを確かめ
自分の手の大きさや感触に合ったものを選びたいですね。
最近では、食事に合わせた箸が多く出ています。
麺がすべりにくいよう溝が刻まれたラーメン箸
豆腐がくずれにくいよう箸先が四角形に面取りしてある豆腐箸など
どれも太さや箸先に一工夫あり。
食事に合わせて使い分けてみると楽しそうですね。

青黒檀 丸利休
一度手に持つと、その使いやすさからやみつきになるとか。原料である青黒檀の木自体がとても希少です。

納豆箸
納豆が良く混ざっておいしくなるという納豆用の箸。丸くて太い箸先がその秘密です。

珍味箸 黒檀
長さが18cmと短く、箸先も細い箸。酒の肴をつまみながら一杯、と小粋に使ってみて。
結婚式の引き出物にも使われ、縁起もののプレゼントとしても箸はおすすめです。
自分用に何膳か揃えて、気分で、あるいは食事によって使い分ける。
そんな箸の豊富な日本ならではの粋な楽しみを味わってみませんか。

◆季節を感じる箸置き
和食は食材や盛りつけ、器などで季節感を演出します。それに一役買うのが箸置き。
小さくてかわいいのにその存在感はかなりのもの。
お気に入りの箸を見つけたら季節の箸置きで食卓を彩りましょう。




■お箸使いのタブー■
日本の食事作法における箸使いのタブーは江戸時代に確立されたといわれています。
皆様はいくつご存知ですか?
立て箸→ご飯の上に箸を突き立てること。仏箸ともいわれる。
刺し箸→料理に箸を突き刺して食べること。
涙箸→箸の先からポタポタと汁をたらすこと。
迷い箸→どれを食べようかと迷い、料理の上であちこちと箸を動かすこと。
ねぶり箸→箸についたものを口で舐めて取ること。
指し箸→食事中に箸で人を指すこと。
重ね箸→同じ料理ばかり何度も続けて食べること。
寄せ箸→食器を箸で手前に引き寄せること。
箸渡し→箸で摘み上げた料理を別の箸で取ったり、箸と箸で料理を挟むこと。
渡し箸→食事の途中で碗や皿の上に箸先を向こうにしておくこと。
汚れた箸先を人に向けることは失礼。

正しい箸使いは食事に対する気持ちの余裕を生み
料理をいっそう美味しくすると思います。

■箸にちなんだことわざ

■インテリア&和雑貨 京都 夢み屋
■雑貨店ブルーデージー
■益子焼窯元よこやま
大切な贈り物にもぴったり!土のぬくもりたっぷりの和食器やさん
■和雑貨・和小物のお店
こだわりの和雑貨 和敬静寂
■和インテリア等心なごむ和雑貨が一杯の専門店
和雑貨を現代に活かすシルコット
■ちきりや・そら・天多屋の和柄Tシャツ・てぬぐい和雑貨の店
新感覚カジュアル和雑貨店 うみ
■職人さんが作る、心温まる、毎日が楽しい木製生活雑貨
木香屋
■モダンな和雑貨・かんざし(簪)などのヘアアクセサリーを通販
和雑貨 アクセサリーの店 コラゾン
■漆と和雑貨のお店 またいち
漆と和雑貨のお店 またいち
「箸の文化史新装版」
「箸」第1章 箸の誕生/第2章 手食から箸食へ/
第3章 箸の種類/第4章 箸の科学/第5章 箸と習俗/
第6章 絵巻物などに描かれた箸/第7章 日本文化と箸













