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彩事記・四季暦・暮らし雑学・美し和言葉・心想詩...「月彩的言の葉パレット」


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■■■   江戸しぐさ ■■■
Sat.
02.03.2007
edopo1

◆今に通じる「都市」の知恵
百万都市・江戸は、言葉も習慣も異なる人々が全国から集まった
異文化のるつぼでした。
当然おこるあつれきやトラブルを未然に防ぎ、人々が安心して楽しく暮らせるように
江戸町方のリーダーたちは様々な手立てを工夫しました。 
その一つが「江戸しぐさ」です。
目つきや表情、話し方や身のこなしによって、思い(心)を表現する方法です。

代表的なしぐさとして挙げられる「肩引き」とは
人込み、狭い道で人とすれ違うとき、お互いに肩を後ろへ引くこと。
ぶつからないように、相手の行く手を遮らないように
互いの胸と胸をあわせて体を斜めにした格好ですれ違います。
「傘かしげ」は、雨の日のしぐさ。
傘を人のいない方へ傾けてすれ違えば、滴で相手をぬらさずにすみます。
これらは「お初しぐさ」「稚児しぐさ」と言われ、子どものうちに習得するものでした。

◆江戸の賢者の知恵「江戸しぐさ」
「江戸しぐさ」なる言葉を知ったのはごくごく最近のこと。
公共広告機構のCMや駅貼りポスターで初めて目にしました。

「江戸しぐさは、イキを美徳とした江戸っ子が実践していた
都市生活での共通の智恵。
江戸での公共マナ−は都会人ならではの洗練されたしぐさ。
江戸しぐさは東京っ子にもふさわしいしぐさです。
(「公共広告機構ポスタ−」より)」


江戸は、今の千代田・中央・港・新宿・文京・台東・墨田・江東区あたりでした。
その江戸の住民は、約半数が武士、半数が町方と呼ばれる庶民でした。
半数を占める庶民の居住地域は、面積が江戸全域の約15%程度
かなりの過密都市だったようです。
江戸庶民たちは、狭い土地にたくさんの人たちが住み、そのほとんどが商業
つまりサ−ビス業に従事していました。
そこで、人々が他人と共存しながら気持ちよく生活するために
人間関係をうまくコントロ−ルすることが必要になってきました。

そこで生まれたのが「江戸しぐさ」で特に町方のリ−ダ−のモラルとして始まり
この「しぐさ」ができない人は江戸っ子ではないとまで言われたそうです。
なお「しぐさ」は、形や態度を表す「仕草」というより
精神・心を表す「思草」であって
その心が言葉や行動に具体化されたのが「江戸しぐさ」ということになります。

「江戸しぐさ」は、一言で言えば江戸の感性(センス)なのだそうです。
この感性・知恵を語り継いできたのが「江戸の良さを見なおす会」の
故・芝三光先生です。
Open more...続きを読む
......................

edo4-s


◆江戸しぐさに学ぶ
『商人道「江戸しぐさ」の知恵袋』これは「江戸しぐさ語り部の会」の主催者であり
江戸しぐさの普及者である越川禮子さんの著作です。
江戸商人がつくり上げた生活哲学「江戸しぐさ」が
小中学校の道徳の授業に用いられるようになってきたといいます。
“語り部”である越川禮子さんは、東京都千代田区や
中野区の学校などで講演活動をされ
千代田区ではその教材づくりもされているとか。

江戸時代の江戸の商人たちの間で育まれ
口承で綿々と伝えられてきた「江戸しぐさ」
それは「商人しぐさ」であり「繁盛しぐさ」でした。
単なるマナーや作法ではなく「くせ」にまで昇華した考え方であり
生き方だったようです。
その「江戸しぐさ」は明治政府が設立した段階で
商人たちの緻密なネットワークを恐れた政府が徹底的な粛清をおこない
壊滅してしまったそうです。
それを故芝三光師に弟子入りされた越川禮子さんが長い時間をかけて聞き出し
考え、整理したのが、この「江戸しぐさ」です。

世の中はますます物騒で、社会の不安も高まっています。 
すぐにできて、見ている方も気持ちよい小さな良いこと「江戸しぐさ」。
現代でも、グローバルスタンダード(世界標準)として立派に通じると思いませんか?

「江戸しぐさ」…例えば「三脱の教え」
初対面の人に職業や地位、年齢の三つを聞いてはならない教えのこと。
現代人はとかく肩書だけで人を判断しがちですが、江戸商人は逆でした。
己の観察力や洞察力を頼りとしたほうが、先入観が入らない分だけ
人物を見誤ることが少ないというわけです。

「時泥棒」という言葉があります。
都合も聞かずに相手を訪問することで、厳しく戒められました。
不意の訪問は相手の時間を浪費するとして
「時泥棒は弁済不能の十両の罪」と言われたり
往来で足を踏まれた時には踏んだ方だけでなく踏まれた方も
「うっかりしていましてすみません」とい言ったりしたそうです。
仏様の前では身分の上下はないという発想に基づいた
「共生」の考え方がそのベースになっています。

あいさつにも定めがありました。
「おはようございます」という目下の者に対して
上役も「おはようございます」と同格で応じるのが正しい作法。
駕籠(かご)に乗っても「おかげさま」という謙虚な気持ちを持って
目的地の少し手前で駕籠を止めました。
「お心肥(しんこやし)」という言葉は、教養をつけ
人格をみがくことを意味したのです。
まさに商人同士や客との付き合いを良好に保つ生活哲学。
根底に流れる精神は、相手を立てて思いやり
自分は一歩譲るという姿勢なのでしょう。

edo1-s


◆江戸しぐさとは
本書の帯にはこう記されています。
『「江戸しぐさ」は上に立つ者の哲学と行動(商人道)を示すものだ。
よき商人としていかに生きるべきか、その考え方は同時に
一般の人々にも役立つグローバル・スタンダード(世界的標準)として通用する。』


また本文にはこう記されています。
『「江戸しぐさ」は必ずアクションを伴うことを認識しておかないといけない。
考え方、つまり心がまえ、それが瞬時に言葉づかいや顔の表情
身のこなしなどの形としてあらわれ、ついに江戸に暮らす人人の「くせ」にまでなっていった。
そうせずにはいられない瞬間的な決断と行動が「江戸しぐさ」で
ここがマナーとは違うところだ。
「江戸しぐさ」のできる人を江戸っ子という。』


江戸しぐさとは要するに「まずは周りのひとのことを思いやりましょう」ということ。
そして江戸しぐさを身に付けているのが江戸っ子である。
こう定義されると、今の東京には江戸っ子が随分と少ない?!
残念ながら、ひとのことまで気の回らない人が確かに多いかもしれません。

江戸しぐさの具体的な例として
狭い道ですれ違うときに肩を引き合って
胸と胸を合わせる形で通り過ぎる「肩引き」
雨のしずくがかからないように傘をかしげ合って気くばりして往来する「傘かしげ」
バスや電車の中で席をつめる時、あとから来た人が座れるように
こぶしをついて腰を浮かせ空席をつくる「こぶし腰浮かせ」など
今も残っている「粋」なしぐさが紹介されています。
これらの例からもわかるように、江戸しぐさには必ず
具体的な行動がともなっています。
「粋」とは「生き生きと生きて意気を示す」ことを意味する、と著者は述べます。
前向きの江戸っ子の姿勢を現代のわたしたちも学びたいものです。

edo2-s


パソコンもテレビも携帯電話もない江戸時代
下町の人口密度が現在の数倍もあった江戸の町で
人々はどうしたら気持ちよく生活できるかということを考え
様々な工夫をしてきました。
現代人が忘れてしまった美しい日本の姿・・・
大事なものをみんなの共有物と考え、相手を尊重し思いやる心。
江戸しぐさには21世紀を快適に生きるためのヒントが詰まっています。

1.忙しい、忙しいと言うな
忙しいとは心を亡くすこと、決して自慢できることではない

2.そんなに偉い方とは知らずにと言うな
偉くない人には無礼をしても良いのか

3.知ったかぶりをするな、見てわかる事を聞くな
知らないなら知らないと言った方が良い

4.人の話を真剣に聞くときにメモをとるな
メモを取ると話す人の気が散る、聞く人の真剣味が減る

5.自分と違う意見をないがしろにするな
意見が違うから参考になる

6.はい、はいと二度返事をするな
一度目は了解、二度目は迷惑

7.感情を逆なでする言葉を使うな
聞く人の気分を害する

8.人の意見を無視する言葉を使うな
話している人は真剣だ

9.人に行き先をむやみに聞くな
プライバシーを尊重せよ

10.相手を卑下するな、威張るな
そんなに自分が偉いのか

11.三脱の教え。初対面の人に年齢、職業、地位を聞くな
聞いて付き合い方を変えるのか

12.人と会っているときに足組み、腕組みをするな
自分を誇示する印象を与える

13.紹介者を飛び越えて親密になるな
紹介していただいたことに感謝せよ

14.打てば響く心意気を持て
説明しなければわからない輩とは付き合うな

15.何をしてもうわの空の人とは付き合うな
いつでも真剣勝負、些細なことでもないがしろにするな

16.口先でなく目で人を判断しろ
表面的な言葉では判断できない、本質を見よ

17.三つ心、六つ躾、九つ言葉、十二文、十五理で末決まる
江戸の稚児の段階的養育法。三歳までに人間の心の糸をしっかり張らせる。
六歳までに躾を手取り足取りまねさせる。
九歳までに人前でお世辞のひとつも言えるくらいの挨拶が出来るようにする。
十二歳には一家の主の代書が出来るようにする。
十五歳で森羅万象が実感として理解できるようにする。

18.突然の訪問、遅刻で人の時泥棒をするな
時間は大切なもの、自分の時間だけでなく
相手の時間も奪っていることに気づけ

19.うかつあやまり。足を踏まれたら、うっかりしていましたと謝れ
ぼんやりしていて踏まれた側にも責任がある、思いやりの心

20.常に人を思いやれ。傘かしげ、肩引き、こぶし腰浮かせ
傘かしげ…
雨のしずくがかからないように傘をかしげあって気配りして往来するしぐさ。
肩引き…
狭い道ですれ違うとき、肩を引き合って胸と胸を合わせる格好で通り過ぎるしぐさ。
こぶし腰浮かせ…
乗合い船で腰の両側にこぶしをついて軽く腰を浮かせ
少しずつ幅を詰めながら1人分の空間を作るしぐさ。

【参考】「商人道「江戸しぐさ」の知恵袋」 越川禮子著 

edo3-s


【傘かしげ】
「雨の中すれ違うとき・お互いさまと傘を傾け・ぬらさない心遣いを」とあります。
雨の時道路ですれ違うとき、相手も自分も傘を外側に傾けてすれ違う。
雨や雪の日、相手も自分も傘を外側に傾けてすっとすれ違う。
お互いの体に雨や雪のしずくがかからないようにするとともに
ぶつかり合って傘が破れないようにという配慮もあったでしょう。
昔の傘は番傘だったから。
しかし、基本に相手に対する思いやりと譲り合いの精神があってこそできること。
hahakigi


【会釈のまなざし 感謝の目つき】
すれ違いのしぐさ。お互いにさりげなく目であいさつし合うことで和やかになる。
目は口ほどにものを言い、である。
権力者に対しても決して卑屈にならないで、失礼のないようなまさざしですれ違う。
ましてや江戸っ子同士ならいつくしみのまなざしを交わす。

「急いでいるとき・道をゆずってもらったら・スッと感謝の眼差しを」とあります。
遅刻しそうになって走っているとき、前を歩いている人が横によけてくれたら
感謝の気持ちを少し頭を下げて目で示そうということです。
人に何かをしてもらったときには、この感謝の目つきを忘れないこと。
昔から「目は口ほどに物をいう」といわれていますが、相手は敏感にキャッチします。
「ありがとう」「ごめんなさい」と言葉が出せなくても
ニッコリ笑って会釈されると感謝の気持ちが伝わります。
yadorigi


【こぶし腰浮かせ】
川の渡し場で、乗合舟の客たちが舟が出るのを待っている時
あとから乗ってきた新しい客のために
先客の二、三人は両側にこぶしをついて
腰を浮かせ、こぶし一つ分の幅をつめながら、一人分の空間を作る。
動作を分析すればこのようになりますが
実際はそんなかたちをとらなくても譲り合う気持ちや気配が
ちょっとした中腰の姿勢でお互いに察し合えた。
新客は先客に礼を言って席をしめる。
電車やバスでも新客が乗ってきたらこうしたいしぐさである。
一人ふんぞりかえっているのはマナー違反。

「人が乗ってきたら・腰をこぶし分浮かせて・さっと席をつめましょ」とあります。
江戸時代には電車やバスなどはありませんでした。
乗り合いの交通機関は川を渡る乗合船ぐらいでしたが、後から乗ってきた人のために
腰掛けている先客の人たちは腰の両側にこぶしをついて、軽く腰を浮かせ
少しずつ詰めながら後の人が座れるように空間を作る。
これがこぶし浮かせですが、譲り合う気持ちや心配りをしましょうということです。
電車やバスなどのマナ−として、席を詰めたり譲ったり
思いやりの心として常に心得ておきたいものですね。
miotukusi


【束の間付き合い】
見知らぬ人も仏の化身と考えて、町人同士の対等な付き合いがあった。
渡し舟などで乗り合わせた束の間でも仏頂面をせず、和やかに軽くあいさつを交わした。
ただし、会話は名前や職業を聞かないのが決まりで、差し障りのない天候の話題などを選んだ。
一期一会の考え方によるもので人間関係を円滑にし江戸の住みやすさをつくるもとにもなった。

「席に座る前・隣の人にさっと一言・短い間も気持ちよく」とあります。
江戸では、道で出会った見知らぬ人でも、仏様の化身と考えて
対等に付き合う意識が定着していたそうです。
たまたま渡し船で乗り合わせた人に、ほんの束の間でも和やかに挨拶を交わし
ちょっとした会話を交わせばなごやかな雰囲気になるという意味です。
hotaru


【参考文献】日本経済新聞社 発行「江戸の繁盛しぐさ」


▲2006年度自主キャンペーン(地域):続・江戸しぐさ|AC公共広告機構
http://www.ad-c.or.jp/campaign/self_area/04/index.html 


 「江戸しぐさ」完全理解
世間で今、じんわりと話題を広げている「江戸しぐさ」って何?
その基本と応用、精神性を語りべの第一人者が陽明学のエキスパートと
やさしく丁寧に説いた完全入門篇。 


 「身につけよう!江戸しぐさ」
イキで元気でカッコいい!出来るおとなの大切な心得
第1章 「江戸しぐさ」は社会人として身に付けておくべき大切な心得
第2章 「江戸しぐさ」は常に相手を考え、尊重する心
第3章 人間関係が楽になる「融合のしぐさ」
第4章 知らない同士がなごやかになれる「往来しぐさ」
第5章 「親しき仲にも礼儀あり」のあいさつと言葉づかい
第6章 お客様を喜ばせる「繁盛しぐさ」
第7章 ビジネスがうまくいく「江戸しぐさ」の判断・行動・志




 「江戸の繁盛しぐさ イキな暮らしの知恵袋」
互いの傘を外側に傾けてすれ違う「傘かしげ」あとから乗ってくる客のために
こぶしひとつ分の幅を詰めて空間をつくる「こぶし腰浮かせ」など
江戸の商人たちが築き上げた「気持ちよく生きるための知恵」を満載。


 「商人道「江戸しぐさ」の知恵袋」
「江戸しぐさ」は江戸の町で暮らす商人たちが、円満に共生する技術。
世間を上手に回しながら他人との間合いをはかる庶民の知恵が今よみがえる。


 「マンガ版「江戸しぐさ」入門」


 「江戸しぐさ 一夜一話」
江戸の心 目次のこころ。
新しい年を迎えまして(江戸の良さを見なおす会会長・岩渕イセ)
第一に「のこしぶみ」として(安藤やち代);江戸ッ子と戒律について;指南番のこし文
江戸っ子の見た芝居(珍眠);お仲間の声(磯野かおり)
江戸の良さを見なおす仲間たち(伊磯箆馨);江戸料理と東京料理(城詰音税卓)
江戸の心ご在所一覧の心〔ほか〕





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