
津軽に「七つの雪」があるという。
太宰治が津軽各地を旅して書き下ろしたのが名作「津軽」
書き出しに「東奥年鑑より」として七つの雪の名前を挙げています。
津軽と限らなければ雪の種類はもっと多く
降雪は「たま雪」「こな雪」「はい雪」「わた雪」「もち雪」「べた雪」「みず雪」
積雪状態では「新雪」「こしまり雪」「しまり雪」「ざらめ雪」「しもざらめ雪」「こしもざらめ雪」
新沼謙治の「津軽恋女 」という歌にも
雪の名前を次々上げるフレーズがあり、これで雪の種類を知ることができます。
降りつもる雪 雪 雪 また雪よ津軽には七つの 雪が降るとか
こな雪 つぶ雪 わた雪 ざらめ雪
みず雪 かた雪 春待つ氷雪

そもそも地元有力地方紙東奥日報が出している「東奥年鑑」に記載されたものを
太宰治が著書「津軽」の中で引用し
後に新沼謙治が歌った「津軽恋女」のなかでも取り上げられ現在に至る…らしいです。
太宰治の「津軽」という小説にも出てくるこの7つの雪は
「日本雪氷学会」によると
現在は大きく「積もっている雪」と「降る雪」の2種類に分かれ
さらに13種類に分類されます。
「積もっている雪」→密度などによって分類。
「降る雪」→たま、こな、わた、に分類されます。
つまり、今でも存在する雪は「こな、わた、みず」だけとのこと。

雪とは
上昇した大気が冷やされて小さな水滴となって浮いているのが雲。
それがさらに上空で-20℃〜40℃になって凍ったモノが「氷晶」
(粒が小さすぎるためこの温度まで凍らない、過冷現象)
それが落下しながら水蒸気とくっついてできるのが「雪の結晶」。
雪というのはその結晶が他の結晶とくっついて大きくなり降ってきたモノです。

雪の種類
雪は降っている雪(降雪)と積もっている雪(積雪)に分けられ
明確に区別されています。
■「降雪」
・たま雪(玉雪)
比較的暖かい時期に降る、たまの形をした雪。
冬の初めや終わりの暖かい頃に降る。海岸地方に多い。
・こな雪(粉雪)
風雪時に多く、粉末状。いわゆるパウダースノー。
・はい雪(灰雪)
普通に降っている雪。灰のようにフワフワ舞う。
・わた雪(綿雪)
暖かくて降水量が多いところに降る。湿り気のある雪。ぼたん雪と同じ。
・もち雪(餅雪)
たま雪やはい雪、わた雪が溶けかかった状態。団子状にしやすい。
・べた雪
もち雪がさらに溶けて降る。団子のような感じ。
・みず雪(水雪)
べた雪が雨に変化する状態。べた雪と雨の中間。雨滴に近い。
■「積雪」
社団法人日本雪氷学会による分類は以下のとおり。
・新雪
積もったばかりの雪のこと。結晶の形が保たれている。密度は0.03〜0.1g/cm3程度。
・こしまり雪
新雪が少ししまったタイプ。降って数日たって新雪が変化した状態。
結晶が壊れて粒状や柱状になってい る。
・しまり雪
さらにしまって0.3mm〜0.6mm程度のきめの細かい氷の粒がつながった状態。
スコップが立たないくらい固い。
・ざらめ雪
新雪やしまり雪が溶けて水を含んだタイプ。1〜3mm程度の大きな粒になる。
・こしもざらめ雪
しまり雪が冷えて雪の中に霜ができた状態。とても珍しいタイプ。
寒い地方で積雪内部に霜が成長してできたモノ。しもざらめ雪より密度が高い。
北海道など気温が低い地方でしか見られない。
・こしもざらめ雪
しもざらめ雪の霜が小さいもの。こしもざらめ雪より大きな霜の結晶。隙間も多くもろい。

47都道府県の調査地点ごとに「雪の種類名」の数を調べた方によると
青森市、長野市の15種類を筆頭に、明らかに積雪地帯に
多くの「雪の種類名」が分布していることがわかったということです。
石川は金沢市で6種類の雪の名前
(ユキ、オーユキ、ネユキ、コナユキ、ボタンユキ)が報告されていて
同じ北陸でも福井の奥越地方の勝山市では、ある調査資料によれば
20種近い雪の名前が報告されているそうです。
エスキモー(イヌイット語)には雪の種類、雪を表す言葉を数百種類以上持っていて
生活の中でそれらを使い分けているそうです。
これは接尾語をつけて派生させた「雪」の数ではなく
語幹となる「雪」の数です。
また、場所を指し示す言葉(こそあど)は30種もあります。
雪に囲まれた環境の中では、位置を正確に知ることが重要な為です。
イヌイットの人たちにとっての『雪』と、他の民族にとっての『雪』は違う意味を持つといいます。
ですから語彙数も圧倒的に違うのでしょう。
エスキモーの言語と文化
花弁雪(ハナビラユキ) 雪を花にたとえた言葉は沢山あります。
そのまま「雪の花」、六角形の結晶の形から「六つ(ムツ)の花」
天からの花という意味で 「天花(テンカ)」
そして・・大粒のはらはら舞い落ちる雪が花弁雪です。
「牡丹雪」も大粒の雪を牡丹の花に見立てたものですね。
降る雪の姿は、本当に命があるようです。
その美しさを、雪見をして、楽しんだりもしました。
雪の多い地方では、そんな呑気な事も言ってはおれないでしょうけど
雪の多い年は豊作とも言われます。
「瑞花(ズイカ)」は、めでたい花という意味で豊作の兆しとなる花の事を言いました。
つまり・・・雪の事なのです。
この冷たい一片(ヒトヒラ)、一片が
いつか・・・本当のしあわせの花に変わりますように・・・
〜「美人の日本語」(山下景子著:幻冬舎)〜


■「雪」のつく言葉(漢字)、雪にまつわる単語
泡雪〈あわゆき〉 泡のように解けやすい雪。
細雪〈ささめゆき〉 こまかに降る雪。
斑雪〈はだれゆき〉 はらはらと降る雪。
綿雪〈わたゆき〉 綿をちぎったような雪。
牡丹雪〈ぼたんゆき。ぼたゆき〉 大きな雪片で降ってくる雪。
粉雪〈こなゆき〉 粉のようにさらさらした細かい雪。
こごめ雪 細かい雪。
氷雪〈ひょうせつ〉こおった雪。
べた雪 水気の多い雪。
ぼた雪 湿気のある大粒の雪。
綿帽子雪〈わたぼうしゆき〉 大片の雪。
濡れ雪〈ぬれゆき〉水分の多い雪。
名残り雪〈なごりのゆき〉春になってから冬のなごりに降る雪。
友待つ雪〈ともまつゆき)次の雪の降るまでに消えずに残っている雪。
忘れ雪〈わすれゆき)その冬の最後に降る雪。
雪崩雪〈なだれゆき〉 なだれとなって落ちてくる雪。
花の雪〈はなのゆき〉 白く咲いた花を見立てていう。
横雪〈よこゆき〉 風で横殴りに降ってくる雪。
俄雪〈にわかゆき〉にわかに降ってくる雪。
白雪〈しらゆき〉 雪の美称。
たびら雪 春近くに降ってくる、うすくて大片の雪。
春雪〈しゅんせつ〉 春に降る雪。
初雪〈はつゆき〉 その冬、初めて降る雪。
新雪〈しんせつ〉 新しく降り積もった雪。
根雪〈ねゆき〉 春まで溶けないで残る雪。
残雪〈ざんせつ〉 消え残った雪。
融雪〈ゆうせつ〉 とけた雪。ゆきどけ。
どか雪 一時的に多量に降る雪。
豪雪〈ごうせつ〉 大雪。大量の雪。
万年雪(まんねんゆき〉 長年消えないで氷塊となっている雪。
淡雪(あわゆき) 春に降るやわらかで消えやすい雪。
粗目雪〈ざらめゆき〉日中に溶けた積雪が夕方凍結したざらめ状の雪質。
しずり雪 木の枝から落ちる雪。
帷子雪〈かたびらゆき〉 薄く降り積もった雪。
薄雪〈うすゆき〉 少しばかり降り積もった雪。
吹雪〈ふぶき〉 横殴りに吹き付ける雪。
里雪〈さとゆき〉 平地に降る雪。
山雪(やまゆき) 山地に降る雪。
大雪〈おおゆき〉 激しく降る雪。それで積もった雪。
小雪〈こゆき〉 少しの雪。
雹〈ひょう〉雷雨に伴って降り、豆粒や鶏卵ほど。夏季に多い。
霰〈あられ〉雪の結晶に過冷却の氷が付着して降った小さい塊。
霙〈みぞれ〉 雪が溶けて雨まじりに降る雪。氷雨ともいう。
雪煙〈ゆきけむり〉 雪の粉が煙のように噴き上げる。
風雪〈ふうせつ〉 風と共に降る雪。吹雪ともいう。

雪花(雪を花に見たてていう語)
雪肌(雪のように白いはだ)
雪月花(雪と月と花。四季における美しい風物)
雪辱(恥をそそぐこと)
雪稜(雪をいただいた尾根)
雪洞(紙張りのおおいのある小さい行灯または手燭)
雪霰(雪の結晶に微細な氷の粒が付着した直径2〜5ミリメートルの球形
もしくは円錐形のこわれやすい氷の粒子。
雪に前後して気温が摂氏零度ぐらいのときに一時的に降る)
雪安居(陰暦10月16日から翌年1月15日まで、僧が一か所にこもって修行する冬安居)
雪兎(盆の上などに雪で兎の形を作ったもの。ユズリハを耳に、ナンテンの赤い実を目にする)
雪鬼(雪の精が鬼の姿となって現れたもの)
雪風(雪まじりの風、ふぶき)
雪消え月(陰暦2月の異名)
雪煙(雪が風のために煙のように舞い上がること)
雪解(雪がとけること、ゆきどけ)
雪景色(雪が降っているときや積もったときの眺め)
雪化粧(野や山の景色が降雪によって白粉で化粧したように白く美しく変わること)
雪時雨(雪まじりの雨)
雪風巻(雪が激しく降って風の吹きまくること)
雪代(雪どけの水)
雪路(雪の積もった道)
雪空(雪が降ってきそうな空模様)
雪達磨式(雪だるまを作るとき、雪の塊を転がすと雪がついてどんどん大きくなるように
次から次へと積み重なり、目に見えてふえてゆくさま)
雪礫(雪合戦などで雪を握り固めて作ったこぶし大の塊)
雪釣(糸の先に木炭などを結びつけて雪の中に落とし入れ、雪をくっつけて釣り上げる子供の遊び)
雪灯籠(雪を固めて灯籠の形をつくり、横に穴をあけて中に灯心などを入れ点火するもの)
雪の声(樹木や竹などに積もった雪が落ちる音)
雪の果て(涅槃会のころに降るといわれている、降りじまいの雪)
雪の花(雪の降るさまを花の散るのに見立てていう語。
また樹木や山に積もった雪を咲いた花に見立てていう語)
雪見酒(雪景色を眺めながら酒を飲むこと)
雪夜(雪の降る夜、雪の積もっている夜)
雪ん子(雪が降ったときに現れるという、子供の姿をした雪の精)

「 外は今日も雨 やがて雪になって僕らの心の中に 降り積もるだろう...* 」
「美しい日本語の辞典」言葉のプロたちが、味わい深い日本語や美しい日本語を収録。
(雨の名前/風の名前/雲の名前/雪の名前/空の名前)
「雪の絵本」粉雪、牡丹雪、淡雪。
童話作家の神沢利子さんが集めた雪にまつわる言葉、エッセーに詩
そして童話からなるお話集。
室生犀星や宮沢賢治の詩、懐かしいわらべうたや雪の行事について語られ
ロシアの民話「雪娘」やフィンランドの童話があったり
他にも「つめたくない雪」「雪売り」など興味深いエッセーを読むことができます。
ページを開くと、装丁同様、文字の上に青い雪の結晶が散りばめられています。
雪の日のように、ひっそりとしたやさしい時間をくれる本。

「子どもたちに残したい日本語」失われつつあることばの豊かさを復権させ、かつまた味わいより充実したことばの世界へ歩む。
豊かな暮らしから生まれた日本語(あいにく/青菜に塩/あたぼう ほか)
かつてをしのぶ失われた日本語(上がり框/上げぶた/汗知らず ほか)
季節を彩る日本語(季節の名称/雨の名称/雪の名称/風の名称)
身体にまつわる日本語(色の白いは七難隠す/うなじ/顔色なし ほか)












