
◆涼しく過ごすインテリア
「夏の室礼(しつらい)」
日本の四季、季節の移り変わりは多様です。
特に夏の暑さをしのぐための生活の知恵と伝統は日本文化として誇れるものです。
涼しさを求めるインテリアとして、すだれや夏障子などをご紹介。
“室礼”(しつらい)という響きのよい言葉、ご存じですか?
平安の時代から、無性格の部屋を儀式や行事のために家具や調度品で装飾し
必要に合った空間に変えることいいます。
社会や住まいの変化に伴い死語に近い状況になっていました。
しかし、「モノ」から「こころ」へ真の豊かさを求める時代に
季節の移り変わりやしきたりに注目し、日本人のこころとカタチ
精神的美意識を豊かさとして暮らしの中に
“しつらい”が再び注目されはじめています。
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京都、夏の暑さ耐えるための“しつらい”はみごとです。
窓には簾(すだれ)が掛けられ、襖、障子は取り払われ
簾戸(すど)、御簾(みす)に代えられ
部屋の区切りがなくなり広く見え風の通りがよくなり涼を呼びます。
また家の前には葭簾(よしず)が立て掛けられ
座敷と庭の間には暖簾(のれん)が掛けられ簾ごしに庭の気配を感じさせます。

簾(すだれ)・簾戸(すど)
夏の“しつらい”では欠かせないものに、簾(すだれ)があります。
簾(すだれ)は葭(よし)、細かく裂いた竹、素木の削ったモノを
縦糸を交差させながら編み上げていったものです。
また、竹で編み、周りを有職文様の織物で縁取った優雅な簾(すだれ)
巻き上げ式になったモノ、カーテンのレールを利用して取付られるモノなど
さまざまに改良されています。
しかし、どの簾(すだれ)も風が通り抜け、おぼろげにかすかに
景色や人影が見えて涼を感じさせます。
簾戸(すど)は夏障子とも呼ばれ、障子や襖の代わりに使われます。

暖簾(のれん)
寺院や神社の門に掛けられた几帳(きちょう)や垂幕(たれまく)が源流といわれ
商業の発達に伴い家紋・屋号を染め抜いた看板のような外暖簾が出現しました。
夏の屋内の暖簾は麻、葛布(くずふ)など見るからに涼しげで
人のわずかな動きにも風を受けてそよぐ
日本人らしい感性の細やかさがでる涼の楽しみかたです。
敷物
京都の旧家では、畳の客間に冬は羊毛の絨毯が敷かれ
蒸し暑い夏には籐を編んだり、網代に組んだ敷物に取って代わります。
和紙を柿の渋や漆を使い何枚も貼り合わせた“油団(ゆとん)”などを
常の敷物として使ったそうです。
なめし革のような光沢とひんやりした感覚は涼を呼びます。
今では作り手が少なく貴重なものです。
冷暖房が発達した今では、涼を考えて室内の衣替えし
夏の佇まいを整えることはなくなりました。
しかし、地球の温暖化や限られた資源をまもるためにも
夏の暑さを楽しみながら、先人の知恵や繊細な感性
「すだれ」、「夏障子」、「のれん」、「籐の敷物」
インテリアにとりいれてみたいものです。
◆日本文化衣食住
「住」
日本の住宅は、平安時代は寝殿造り〔しんでんづくり〕、室町時代からは書院造り
桃山・江戸時代は数寄屋造り〔数寄屋造り〕というように
時代とともに様式を変えてきました。
もちろんその間に、建具・建材も日本で独自に作られたものや
海外から流入し日本で独自に発展したものなど様々なものが作り出されました。
戦後、住宅の洋風化が進み、これらの建具・建材もその影響を受けましたが
現在でも和風住宅はもちろん洋風住宅に組み込まれ使用されています。
それは先人の知恵によって作り出されたこれらの道具が
日本の気候に非常に適していたり、自然素材ということで
健康を害さないなど多くのメリットをもつからです。
「葦簀 (よしず)」

葦簀は、簾と同様、日光を遮りながら風を通す非常に便利な道具です。
室内からブラインドをするよりも効果は高く、現在でもよく使われています。
その用途から、夏の風物詩として認識されていますが
北海道では寒さを防ぐためにも使用されていました。
◆いろんなところで大活躍
葦簀は主に夏に用いられ、太陽光や、外部からの視線を遮りながら
風を通す役割があります。
住宅では、玄関先や、ベランダなどに用いられています。
その他にも身近なところでは、海の家や、温泉の露天風呂の仕切り
また、屋台のおでん屋、ラーメン屋でもよく見られます。
現代の住宅では、遮光を主に室内のブラインド等を用いますが
これは熱までは遮ることはできません。
しかし葦簀を室外に立てかけることで、葦簀と窓や壁との間に空気層ができ
室内に伝わる熱をカットしてくれるのです。
◆多くの産地が今も残る
葦簀の起源は定かではありませんが
江戸時代以前から、葦〔よし〕は屋根に使用されたり
天井材などに使われていました。
江戸時代には葦簀がつい立として利用されています。
葦の産地は全国的にありますが、大きな産地は淀川水系、琵琶湖周辺で
関東では渡良瀬遊水池、北上川などが古くから産地として挙げられます。
しかし現在では中国産の安価な葦、葦簀が輸入されているため
日本の葦簀の生産量は徐々に減少しています。
◆観光行事としても有名
葦簀は、3m程の葦をシュロ糸で結びつなげて作ります。
葦簀は簾と比べて大きいので、ぶら下げずに壁に立て掛けて使います。
風通しが良いのは、シュロ糸が固いために結び目が小さくならず
葦の間に隙間が生まれるためです。
栃木県藤岡町の渡良瀬遊水地などの葦の産地では葦は1月に刈り取られ
毎年3月中旬になると、葦焼きが行われます。
これは観光の一つとなっています。
残った葦を焼くことは来年の為の肥料作りになり
また害虫駆除の効果もあります。
■ウェブサイト
「暮らしの達人on the WEB」
月刊誌「暮らしの達人」のホームページ。
よしずを使った夏の過ごし方など、生活の知恵や情報が紹介されています。
http://www.mokutaikyo.com/tatsujin/
「簾 (すだれ)」

簾は日差しを避けつつ風を通すという、一石二鳥の便利な道具です。
現在でも和風の住宅では主に窓の外に外掛け用として使われています。
歴史のある住宅や、川に面した住宅に簾がかかっているのを見ると
とても風流に感じるものです。
近年のアジアンブームや癒しブームにより
本来の目的ではありませんがインテリアとしても人気があります。
◆一石二鳥
簾は、窓の外に垂らして日光や外部からの目線を遮るとともに
竹の隙間からの風により、涼を取ることも可能です。
以前の日本の住宅は軒が深く、軒先にすだれをかけることによって
広範囲の日陰を作ることができました。
現在の日本の住宅は、軒が短いので窓のすぐ外に垂らして使われています。
10cmほど離して垂らすことで、窓との間に
空気層を作り熱を遮る効果が生まれます。
住宅の洋式化により、ブラインドやスクリーンが普及しましたが
簾は現在でも多く使われています。
◆古くから変わることなく
簾は、非常に古い歴史を持っています。
簾という言葉は万葉集にも登場しています。
平安時代の貴族の住宅では、現在のドア・引き戸のような
部屋同士の仕切りが無く
御簾〔みす〕と呼ばれる現在の簾の原型となるものを使っていました。
基本的な形はほとんど変わっていませんが「御」という接頭語が示すように
現在のすだれに布地でできた縁をつけ、房を垂らした高級なものでした。
現在は竹や葦〔よし〕と、紐だけのシンプルなものが主流です。
◆シンプルな製法
簾は主に竹で作られています。
作り方は、竹を細かく割き、太さをそろえ綿糸で一本ずつ編んでいきます。
竹製のものは高級品とされ、室外向けの使用には葦製のものを多用します。
現在は、ビニール製のすだれもあります。
◆貴族の使い方
平安時代の寝殿造りの住宅では、簾台〔れんだい〕
(簾を掛けるための木の枠。簾をかけたものを目隠しや仕切りとして使用した)に掛けたり
長押〔なげし〕(障子や襖〔ふすま〕の上や和室の柱と柱の間に架かっている横材)
にかけて使用していました。
■ウェブサイト
「ものづくり歴史考ホームページ」
関西と関東のすだれの大きさの違いなどについて紹介しています。
http://www.jca.apc.org/MONODUKURI/wg/rekisiko/
「MINATOあらかると」
港区の伝統工芸士|江戸簾(鈴木盛雄)
港区の産業・観光分野を紹介した「MINATOあらかると」の中で
江戸簾を紹介しているページです。
http://www.minato-ala.net/kougei/kougei07/
「団扇 (うちわ)」

団扇はもともと、顔を隠して威厳を正す道具でした。
庶民に普及してからは、団扇は暑さを和らげたり炭をおこすのには
欠かせないものとして使われていました。
現在ではこのような実用的な使用は少なくなりましたが
夏の風物詩としてお祭りなどで好んで使われています。
◆夏と言えば・・・
団扇の用途は、扇いで風を送ることです。
夏の暑さをしのぐことに使ったり、ガスコンロが普及する前までは
炭の火おこしに使いました。
扇風機やクーラー、ガス器具が普及した今となっては
日常生活でこのように使われることは少なくなりました。
しかし現在でも、屋外ではバーベキューの火おこしなどに使われています。
また、夏の風物詩としてはまだまだ現役で、お祭り、花火大会では
今でも多くの人が団扇を持ち歩いています。
とはいえ、竹と和紙でできた手作りの団扇は生産が減り
機械生産の安価なプラスチック製の骨のものが主流となっています。
主に、店舗やキャンペーンの情報を印刷したものが広告として配布されたり
人物やキャラクターを印刷したものが販売されています。
◆威厳を現すものから実用へ
団扇の原型は古墳時代に中国から渡来した翳〔さしば〕というもので
団扇の柄を伸ばしたような形をしていました。
10世紀ごろに、小型の翳を団扇と呼ぶようになます。
扇ぐことにも使われましたが、主に、公家・役人・僧侶の間で
威厳を正すために顔を隠したり、虫を払う道具として使われました。
竹と和紙でできた団扇は、室町時代末期に製造が始まり、送風の能力が大幅に上がりました。
江戸時代に入ると、団扇は庶民へ広く普及します。
扇いで暑さをしのいだり、炊事の火起しなどに使われると同時に
浮世絵を印刷したものが量産されることで、見て楽しむという使い方も加わりました。
一方で、引き続き威厳を正す用途でも使われ
高名な絵師によって絵が描かれた芸術品も多く生まれています。
店の名や、映画の俳優を印刷した広告としての団扇が製造されるのは
明治に入ってからです。その後、昭和30年代頃から
扇風機・クーラーの普及により実用面での使用は大幅に減少しました。
◆各地の伝統産業
団扇には、和紙に透かしを入れたもの、竹の組み方
形が角ばったものや丸いものなど
各地で様々な趣向を凝らしたものが生産されています。
例えば、京都には宮廷でも用いられた京団扇があります。
京団扇の特徴は、通常は一つの材料からできている
扇面と柄の部分が別々で扇面を柄に差し込んで作られています。
柄の部分は、竹の他に杉なども使われます。
扇面に豪華な絵が描かれているのはもちろん、柄の部分にも漆が塗られ
金、銀などで装飾された豪華なものも作られていました。
■ウェブサイト
「原点〜今の私たちをつくるもの〜」
団扇やお箸など日本の生活に密着した物から
年中行事などの風習まで日本文化の原点を紹介しています。
http://contest2002.thinkquest.jp/tqj2002/50392/index.html
「扇子 (せんす) 」

扇子は、扇いで涼をとるものだけでなく
和服を着る時の必需品として使用されています。
それ以外にも芸やお茶の世界など様々な分野で使われ
それぞれに形式や意味を持っています。
◆扇ぐ道具、飾る道具
扇子は、大きく分けて二つの役割があります。
一つは、扇いで涼をとるための役割です。
当初は全面木製で大きさも30cmほどありましたが
夏用に竹と紙で作られたものが作られてからは
扇いで暑さを和らげる目的で使えるようになりました。
団扇〔うちわ〕とともに、扇風機が普及するまでは
扇子は庶民にとって夏の必需品でした。
もう一つは、装飾品としての役割です。
平安時代は、貴族の正装の必需品として用いられていました。
また茶道や能、舞などにも欠かせない重要な道具として用いられます。
現在の日常生活では、主に和服での冠婚葬祭には
祝儀扇と呼ばれる専用の扇子が一年を通して用いられています。
◆メモ帳から装飾品へ
扇子の誕生は、平安時代初期です。
数枚の木簡〔もっかん〕
(文書の記述・保存に用いた薄い木の板)を持ち歩くために
片端を綴じて使用したのがその始まりです。
これを檜扇〔ひおうぎ〕と言います。
当時は主に男性が公の場で使っていましたが
檜扇に絵が描かれるようになり
装飾品として女性が好んで使うようになります。
その後、竹や木の骨組みに片面だけ紙を貼った
蝙蝠扇〔かわほりせん〕が登場し現在の扇子の原型が出来上がります。
これは涼をとれる夏用の扇子でした。
鎌倉時代に日本の扇子は中国に渡ります。
中国で扇子は両面貼りになり室町時代に日本に逆輸入されて普及しました。
鎌倉時代までは貴族や神職者しか使えませんでしたが
このころに庶民の使用が許されました。
そこから、能や演劇、茶道に用いられるようになり
江戸時代には庶民の必需品として
重要な産業の一つに発展しました。
しかし、昭和30年代中頃から民間に扇風機が普及し
団扇〔うちわ〕とともに扇子の需要は激減しました。
◆時と場合に応じて
扇子は、時と場合に応じて多くの種類があります。
和服での冠婚葬祭に用いる祝儀扇は
和服の種類(訪問着や礼装など)の違いや
男女によって使用する扇子が異なります。
茶道、能、舞などでは、茶扇、能扇、舞扇という風に
決まった形式のものを使います。
これらは扇面に描かれる絵の種類も違いますし使い方も様々です。
例えば茶道の世界では、膝の前に扇子を置くことが作法の一つにあります。
扇子を自分の前に置くことで相手への敬いの念を表すという使い方をします。
また、能の世界では、地謡〔じうたい〕
(情景描写や主役の心情を代弁する役)が扇子を使用します。
扇子を自分の前に置くことで、自分の回りに結界を張り
本来自分はそこには存在しないということを表します。
■ウェブサイト
「特集:美と技の都 京都」
京扇子など、京都の伝統工芸品を特集したページです。
http://www.kougei.or.jp/crafts/kyoto/index.html
「和風時間(no.1)」

「和風時間(no.2)」
和の暮らしを演出する生活実用マガジン
「心地よい和の暮らし」
インテリアに和の暮らしを取り入れた生活スタイルを実例大特集

「ニッポンの名前 和の暮らしモノ図鑑」
和食の素材や料理、台所用品の名前、和服(きもの)の小物や柄の名前
和風建築の座敷や建具、家具、茶室の名前、神社やお寺の建物の名前。
能・歌舞伎・文楽などの伝統芸能、年中行事や冠婚葬祭にかかわる数々の道具の名前など
ニッポン人として知っておきたい、モノの名前を、写真とイラストでたのしく紹介。

「小山織の和の雑貨とインテリア」
古来のしなやかなインテリア術を、現代の洋風化した住まいに自然に生かす提案として
「くつろぎ」「あじわい」「かたづけ」「しつらえ」「おくりもの」に分け
手がかりとなる雑貨と家具などを紹介

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窓には簾(すだれ)が掛けられ、襖、障子は取り払われ
簾戸(すど)、御簾(みす)に代えられ
部屋の区切りがなくなり広く見え風の通りがよくなり涼を呼びます。
また家の前には葭簾(よしず)が立て掛けられ
座敷と庭の間には暖簾(のれん)が掛けられ簾ごしに庭の気配を感じさせます。

簾(すだれ)・簾戸(すど)
夏の“しつらい”では欠かせないものに、簾(すだれ)があります。
簾(すだれ)は葭(よし)、細かく裂いた竹、素木の削ったモノを
縦糸を交差させながら編み上げていったものです。
また、竹で編み、周りを有職文様の織物で縁取った優雅な簾(すだれ)
巻き上げ式になったモノ、カーテンのレールを利用して取付られるモノなど
さまざまに改良されています。
しかし、どの簾(すだれ)も風が通り抜け、おぼろげにかすかに
景色や人影が見えて涼を感じさせます。
簾戸(すど)は夏障子とも呼ばれ、障子や襖の代わりに使われます。

暖簾(のれん)
寺院や神社の門に掛けられた几帳(きちょう)や垂幕(たれまく)が源流といわれ
商業の発達に伴い家紋・屋号を染め抜いた看板のような外暖簾が出現しました。
夏の屋内の暖簾は麻、葛布(くずふ)など見るからに涼しげで
人のわずかな動きにも風を受けてそよぐ
日本人らしい感性の細やかさがでる涼の楽しみかたです。
敷物
京都の旧家では、畳の客間に冬は羊毛の絨毯が敷かれ
蒸し暑い夏には籐を編んだり、網代に組んだ敷物に取って代わります。
和紙を柿の渋や漆を使い何枚も貼り合わせた“油団(ゆとん)”などを
常の敷物として使ったそうです。
なめし革のような光沢とひんやりした感覚は涼を呼びます。
今では作り手が少なく貴重なものです。
冷暖房が発達した今では、涼を考えて室内の衣替えし
夏の佇まいを整えることはなくなりました。
しかし、地球の温暖化や限られた資源をまもるためにも
夏の暑さを楽しみながら、先人の知恵や繊細な感性
「すだれ」、「夏障子」、「のれん」、「籐の敷物」
インテリアにとりいれてみたいものです。
◆日本文化衣食住
「住」
日本の住宅は、平安時代は寝殿造り〔しんでんづくり〕、室町時代からは書院造り
桃山・江戸時代は数寄屋造り〔数寄屋造り〕というように
時代とともに様式を変えてきました。
もちろんその間に、建具・建材も日本で独自に作られたものや
海外から流入し日本で独自に発展したものなど様々なものが作り出されました。
戦後、住宅の洋風化が進み、これらの建具・建材もその影響を受けましたが
現在でも和風住宅はもちろん洋風住宅に組み込まれ使用されています。
それは先人の知恵によって作り出されたこれらの道具が
日本の気候に非常に適していたり、自然素材ということで
健康を害さないなど多くのメリットをもつからです。
「葦簀 (よしず)」

葦簀は、簾と同様、日光を遮りながら風を通す非常に便利な道具です。
室内からブラインドをするよりも効果は高く、現在でもよく使われています。
その用途から、夏の風物詩として認識されていますが
北海道では寒さを防ぐためにも使用されていました。
◆いろんなところで大活躍
葦簀は主に夏に用いられ、太陽光や、外部からの視線を遮りながら
風を通す役割があります。
住宅では、玄関先や、ベランダなどに用いられています。
その他にも身近なところでは、海の家や、温泉の露天風呂の仕切り
また、屋台のおでん屋、ラーメン屋でもよく見られます。
現代の住宅では、遮光を主に室内のブラインド等を用いますが
これは熱までは遮ることはできません。
しかし葦簀を室外に立てかけることで、葦簀と窓や壁との間に空気層ができ
室内に伝わる熱をカットしてくれるのです。
◆多くの産地が今も残る
葦簀の起源は定かではありませんが
江戸時代以前から、葦〔よし〕は屋根に使用されたり
天井材などに使われていました。
江戸時代には葦簀がつい立として利用されています。
葦の産地は全国的にありますが、大きな産地は淀川水系、琵琶湖周辺で
関東では渡良瀬遊水池、北上川などが古くから産地として挙げられます。
しかし現在では中国産の安価な葦、葦簀が輸入されているため
日本の葦簀の生産量は徐々に減少しています。
◆観光行事としても有名
葦簀は、3m程の葦をシュロ糸で結びつなげて作ります。
葦簀は簾と比べて大きいので、ぶら下げずに壁に立て掛けて使います。
風通しが良いのは、シュロ糸が固いために結び目が小さくならず
葦の間に隙間が生まれるためです。
栃木県藤岡町の渡良瀬遊水地などの葦の産地では葦は1月に刈り取られ
毎年3月中旬になると、葦焼きが行われます。
これは観光の一つとなっています。
残った葦を焼くことは来年の為の肥料作りになり
また害虫駆除の効果もあります。
■ウェブサイト
「暮らしの達人on the WEB」
月刊誌「暮らしの達人」のホームページ。
よしずを使った夏の過ごし方など、生活の知恵や情報が紹介されています。
http://www.mokutaikyo.com/tatsujin/
「簾 (すだれ)」

簾は日差しを避けつつ風を通すという、一石二鳥の便利な道具です。
現在でも和風の住宅では主に窓の外に外掛け用として使われています。
歴史のある住宅や、川に面した住宅に簾がかかっているのを見ると
とても風流に感じるものです。
近年のアジアンブームや癒しブームにより
本来の目的ではありませんがインテリアとしても人気があります。
◆一石二鳥
簾は、窓の外に垂らして日光や外部からの目線を遮るとともに
竹の隙間からの風により、涼を取ることも可能です。
以前の日本の住宅は軒が深く、軒先にすだれをかけることによって
広範囲の日陰を作ることができました。
現在の日本の住宅は、軒が短いので窓のすぐ外に垂らして使われています。
10cmほど離して垂らすことで、窓との間に
空気層を作り熱を遮る効果が生まれます。
住宅の洋式化により、ブラインドやスクリーンが普及しましたが
簾は現在でも多く使われています。
◆古くから変わることなく
簾は、非常に古い歴史を持っています。
簾という言葉は万葉集にも登場しています。
平安時代の貴族の住宅では、現在のドア・引き戸のような
部屋同士の仕切りが無く
御簾〔みす〕と呼ばれる現在の簾の原型となるものを使っていました。
基本的な形はほとんど変わっていませんが「御」という接頭語が示すように
現在のすだれに布地でできた縁をつけ、房を垂らした高級なものでした。
現在は竹や葦〔よし〕と、紐だけのシンプルなものが主流です。
◆シンプルな製法
簾は主に竹で作られています。
作り方は、竹を細かく割き、太さをそろえ綿糸で一本ずつ編んでいきます。
竹製のものは高級品とされ、室外向けの使用には葦製のものを多用します。
現在は、ビニール製のすだれもあります。
◆貴族の使い方
平安時代の寝殿造りの住宅では、簾台〔れんだい〕
(簾を掛けるための木の枠。簾をかけたものを目隠しや仕切りとして使用した)に掛けたり
長押〔なげし〕(障子や襖〔ふすま〕の上や和室の柱と柱の間に架かっている横材)
にかけて使用していました。
■ウェブサイト
「ものづくり歴史考ホームページ」
関西と関東のすだれの大きさの違いなどについて紹介しています。
http://www.jca.apc.org/MONODUKURI/wg/rekisiko/
「MINATOあらかると」
港区の伝統工芸士|江戸簾(鈴木盛雄)
港区の産業・観光分野を紹介した「MINATOあらかると」の中で
江戸簾を紹介しているページです。
http://www.minato-ala.net/kougei/kougei07/
「団扇 (うちわ)」

団扇はもともと、顔を隠して威厳を正す道具でした。
庶民に普及してからは、団扇は暑さを和らげたり炭をおこすのには
欠かせないものとして使われていました。
現在ではこのような実用的な使用は少なくなりましたが
夏の風物詩としてお祭りなどで好んで使われています。
◆夏と言えば・・・
団扇の用途は、扇いで風を送ることです。
夏の暑さをしのぐことに使ったり、ガスコンロが普及する前までは
炭の火おこしに使いました。
扇風機やクーラー、ガス器具が普及した今となっては
日常生活でこのように使われることは少なくなりました。
しかし現在でも、屋外ではバーベキューの火おこしなどに使われています。
また、夏の風物詩としてはまだまだ現役で、お祭り、花火大会では
今でも多くの人が団扇を持ち歩いています。
とはいえ、竹と和紙でできた手作りの団扇は生産が減り
機械生産の安価なプラスチック製の骨のものが主流となっています。
主に、店舗やキャンペーンの情報を印刷したものが広告として配布されたり
人物やキャラクターを印刷したものが販売されています。
◆威厳を現すものから実用へ
団扇の原型は古墳時代に中国から渡来した翳〔さしば〕というもので
団扇の柄を伸ばしたような形をしていました。
10世紀ごろに、小型の翳を団扇と呼ぶようになます。
扇ぐことにも使われましたが、主に、公家・役人・僧侶の間で
威厳を正すために顔を隠したり、虫を払う道具として使われました。
竹と和紙でできた団扇は、室町時代末期に製造が始まり、送風の能力が大幅に上がりました。
江戸時代に入ると、団扇は庶民へ広く普及します。
扇いで暑さをしのいだり、炊事の火起しなどに使われると同時に
浮世絵を印刷したものが量産されることで、見て楽しむという使い方も加わりました。
一方で、引き続き威厳を正す用途でも使われ
高名な絵師によって絵が描かれた芸術品も多く生まれています。
店の名や、映画の俳優を印刷した広告としての団扇が製造されるのは
明治に入ってからです。その後、昭和30年代頃から
扇風機・クーラーの普及により実用面での使用は大幅に減少しました。
◆各地の伝統産業
団扇には、和紙に透かしを入れたもの、竹の組み方
形が角ばったものや丸いものなど
各地で様々な趣向を凝らしたものが生産されています。
例えば、京都には宮廷でも用いられた京団扇があります。
京団扇の特徴は、通常は一つの材料からできている
扇面と柄の部分が別々で扇面を柄に差し込んで作られています。
柄の部分は、竹の他に杉なども使われます。
扇面に豪華な絵が描かれているのはもちろん、柄の部分にも漆が塗られ
金、銀などで装飾された豪華なものも作られていました。
■ウェブサイト
「原点〜今の私たちをつくるもの〜」
団扇やお箸など日本の生活に密着した物から
年中行事などの風習まで日本文化の原点を紹介しています。
http://contest2002.thinkquest.jp/tqj2002/50392/index.html
「扇子 (せんす) 」

扇子は、扇いで涼をとるものだけでなく
和服を着る時の必需品として使用されています。
それ以外にも芸やお茶の世界など様々な分野で使われ
それぞれに形式や意味を持っています。
◆扇ぐ道具、飾る道具
扇子は、大きく分けて二つの役割があります。
一つは、扇いで涼をとるための役割です。
当初は全面木製で大きさも30cmほどありましたが
夏用に竹と紙で作られたものが作られてからは
扇いで暑さを和らげる目的で使えるようになりました。
団扇〔うちわ〕とともに、扇風機が普及するまでは
扇子は庶民にとって夏の必需品でした。
もう一つは、装飾品としての役割です。
平安時代は、貴族の正装の必需品として用いられていました。
また茶道や能、舞などにも欠かせない重要な道具として用いられます。
現在の日常生活では、主に和服での冠婚葬祭には
祝儀扇と呼ばれる専用の扇子が一年を通して用いられています。
◆メモ帳から装飾品へ
扇子の誕生は、平安時代初期です。
数枚の木簡〔もっかん〕
(文書の記述・保存に用いた薄い木の板)を持ち歩くために
片端を綴じて使用したのがその始まりです。
これを檜扇〔ひおうぎ〕と言います。
当時は主に男性が公の場で使っていましたが
檜扇に絵が描かれるようになり
装飾品として女性が好んで使うようになります。
その後、竹や木の骨組みに片面だけ紙を貼った
蝙蝠扇〔かわほりせん〕が登場し現在の扇子の原型が出来上がります。
これは涼をとれる夏用の扇子でした。
鎌倉時代に日本の扇子は中国に渡ります。
中国で扇子は両面貼りになり室町時代に日本に逆輸入されて普及しました。
鎌倉時代までは貴族や神職者しか使えませんでしたが
このころに庶民の使用が許されました。
そこから、能や演劇、茶道に用いられるようになり
江戸時代には庶民の必需品として
重要な産業の一つに発展しました。
しかし、昭和30年代中頃から民間に扇風機が普及し
団扇〔うちわ〕とともに扇子の需要は激減しました。
◆時と場合に応じて
扇子は、時と場合に応じて多くの種類があります。
和服での冠婚葬祭に用いる祝儀扇は
和服の種類(訪問着や礼装など)の違いや
男女によって使用する扇子が異なります。
茶道、能、舞などでは、茶扇、能扇、舞扇という風に
決まった形式のものを使います。
これらは扇面に描かれる絵の種類も違いますし使い方も様々です。
例えば茶道の世界では、膝の前に扇子を置くことが作法の一つにあります。
扇子を自分の前に置くことで相手への敬いの念を表すという使い方をします。
また、能の世界では、地謡〔じうたい〕
(情景描写や主役の心情を代弁する役)が扇子を使用します。
扇子を自分の前に置くことで、自分の回りに結界を張り
本来自分はそこには存在しないということを表します。
■ウェブサイト
「特集:美と技の都 京都」
京扇子など、京都の伝統工芸品を特集したページです。
http://www.kougei.or.jp/crafts/kyoto/index.html
「和風時間(no.1)」
「和風時間(no.2)」
和の暮らしを演出する生活実用マガジン
「心地よい和の暮らし」
インテリアに和の暮らしを取り入れた生活スタイルを実例大特集
「ニッポンの名前 和の暮らしモノ図鑑」
和食の素材や料理、台所用品の名前、和服(きもの)の小物や柄の名前
和風建築の座敷や建具、家具、茶室の名前、神社やお寺の建物の名前。
能・歌舞伎・文楽などの伝統芸能、年中行事や冠婚葬祭にかかわる数々の道具の名前など
ニッポン人として知っておきたい、モノの名前を、写真とイラストでたのしく紹介。

「小山織の和の雑貨とインテリア」
古来のしなやかなインテリア術を、現代の洋風化した住まいに自然に生かす提案として
「くつろぎ」「あじわい」「かたづけ」「しつらえ」「おくりもの」に分け
手がかりとなる雑貨と家具などを紹介
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