
時間は常に流れ続ける。
過ぎてゆく時に囚われ過ぎず この一瞬の時を感じて…
[露の間] (つゆのま)
木の葉の上に降りた露は、すぐにはかなく消えてしまう。
ほんのわずかな時のことを、露の間という。
瞬(またた)く間は、まばたきをするくらい短い時間をいう。
をる人の 老いせぬ秋の 露の間に
千とせをめぐる 菊のさかづき (藤原俊成女)
ぬれてほす 山路の菊の露の間に
いつか千歳を我は経にけむ (素性法師)
[寸陰] (すんいん)
一寸の光陰の意。
「光」は日、「陰」は月を意味し、光陰は月日、歳月のこと。
寸陰はわずかな時間で「光陰矢の如し」は
月日の過ぎ行く早さを表現する。
寸陰を惜んでの刻苦勉強に学業の進みも著るしく /浮雲(四迷)
聖人は尺璧を貴ばずして寸陰を重んず (淮南子)
「尺璧」は直径一尺もある大きな宝玉。「寸陰」はほんの少しの時間。
聖人は宝石よりもほんのわずかな時間を大切にする。
時間の大切さを述べた言葉。(中国の思想書)
[刹那] (せつな)
仏教のことばで一瞬のこと。時間の最小単位。
一回指を弾く間に六〇あるいは六五の刹那があるとされる。
75分の1秒とも、指を弾く時間の65分の1の長さともいう。
「刹那の快楽に酔う」「衝突した刹那に気を失う」「刹那的な生き方」
「刹那の快楽を求める」「爆発が起こった刹那」
一弾指の間に六十五の刹那ありて (正法眼蔵)
[一日千秋の思い] (いちにちせんしゅうのおもい)
「一日千秋」は「詩経」に出てくる言葉ですが
中国では「一日三秋」と言います。
日本に来て一日千秋なってしまった言葉。
一日が非常に長く感じられること。
待ちこがれる気持ちが著しく強いこと。いちじつせんしゅう。
「秋」には時や年の意味もある。
愛する人と一日逢わないだけでもそれが千の秋…
つまり千年と思われるくらい長く感じられる。
一日千秋の思いはそれほど強く相手を思うこと。待ち遠しいこと。
[悠久] (ゆうきゅう)
「悠」は遥か遠く、ゆっくりしたなどの意。
「久」は時間的な長さを意味する。
悠久は遥かに長い時間。果てしなく長く続くこと。
長く久しいこと。また、そのさま。
「悠久の歴史の流れ」「悠久な(の)大自然」
「悠久の大義」「悠久な営み」
[星霜] (せいそう)
「星」は一年で地球をめぐり「霜」は毎年冬に降りることから
星霜は年月のこと。としつき。歳月。
古くは「せいぞう」
「星霜ここに幾十年」「幾星霜を経る」
■ 朝の時

類語:
暁(あかつき) 曙(あけぼの) 東雲(しののめ) 夜明け
明け方 有り明け(の月〉 朝ぼらけ 朝焼け 朝まだき
早朝 払暁 早暁 未明 黎明(れいめい) 天明 爽暁(そうぎょう)
「吾を呼び醒ませし朝の使は彼なりけるよと」〈蘆花・不如帰〉
「野分(のわき)の―こそをかしけれ」〈徒然・一九〉
[暁の別れ] (あかつきのわかれ)
かって、男性が女性のもとに通う妻問婚(つまどいこん)だった時代
女性と夜を過ごした男性は鶏鳴とともに別れたことを暁の別れといった。
[押し明け方] (おしあけがた)
押し明け方や引き明けも夜明けの意。
[春暁] (しゅんぎょう)
暁も曙も、現在では明け方の意味で使われますが
「暁」は夜を三つに分け「宵」「夜中」につづく三番目の夜で
夜明けのまだ暗い時間のこと。春暁は春の季語。
[かたわれ時] (かたわれどき)
まだ薄暗くて誰だかわからない頃を言う。
[仄々明け] (ほのぼのあけ)
夜のまだ明ききれないころ。
白々明けは夜が白々と明けるころで
朝がほんのり明けてくるころは白々明けと言う。
[朝惑い] (あさまどい)
朝から眠たいこと。
とくに春は「春眠暁を覚えず」といわれるように
夜が明けてもまだ眠っていたい季節。
■ 昼の時

菜の花の黄に降りそそぎ音なき昼の時はすぎゆく…
[昼下がり] (ひるさがり)
正午を少し過ぎた昼下がりという言葉には、どこかけだるい雰囲気がただよいます。
昼過ぎには、古くなったり盛りを過ぎた意味もあります。
[炎昼] (えんちゅう)
たいへん暑い夏の昼間のこと。
天項の強い太陽の光は、ときに人の精神に強い影響をおよぼします。
[白昼夢] (はくちゅうむ)
日中、目を覚ましたままで空想や想像を夢のように
映像として見ていること。
また、そのような非現実的な幻想にふけること。白日夢。
夢のような空想を白昼夢ともいう。
[昼行灯] (ひるあんどん)
昼間についている行灯のように
うすぼんやりして役に立たない人をいう。
昼でたお化けや、昼でたコウモリは場違いなもののたとえでもある。
[昼鳶] (ひるとんび ひるとび)
「鳶に油揚げをさらわれる」という表現があるように
人里近くにすむトビは、魚などをかすめとる事とある。
「ひるとんびとて透き間を窺ふ盗賊通ひ合はせ」〈浮・諸芸独自慢・五〉
■ 夕の時

「今日もかも 明日香の川の 夕さらず
かはづ鳴く瀬のさやけかるらむ/万葉 356」
(夕さらず : 夕方ごとに。毎夕。)
[暮れ泥む] (くれなずむ)
「泥む」は滞る意で、日が暮れそうでなかなか暮れないことを
暮れ泥むといいます。
暮れ始めることを暮れ初(そ)むとか 暮れ懸(か)といい
暮れてから明るさが残ることは暮れ残るという。
[うそうそ時] (うそうそどき)
「うそうそ」は不安で落ち着かないことでどちらともつかないことを言います。
うそうそ時は明るくも暗くもない時間。
[夕さり] (ゆうさり)
夕方になること。夕ましも夕暮れのことです。
灰暮(ほのぐれ)は、わずかに暮れかかることで
薄暮は薄明かりの残る夕暮れ。
[火点し頃] (ひともしころ)
日暮れとともに、ひとつ、またひとつと家に灯がともること。
[夕轟き] (ゆうとどろき)
恋しさは、黄昏時につもるものですが
恋する気持ちが、夕暮れ時に心を騒がせることを夕轟きといいます。
『四季の言の葉はがき集』
四季の言の葉シリーズの本から選りすぐりの12枚を抜粋したはがき集
日本の四季の移り変わりをやさしい言の葉とともに

『心の新芽がでたよ』
揺れる心がこんなにまぶしい言葉になるなんて…
「心の新芽」を引き出してくれる詩画集













